宇宙航空研究開発機構(JAXA)、理化学研究所などは宇宙飛行士が排せつした便を使い、宇宙での生活が腸内細菌に与える影響を調べる初の実験に乗り出すことを決めた。宇宙では免疫力が低下するため、免疫に深く関与する腸内細菌の変化を調べ、宇宙飛行士の健康管理や、腸内細菌がかかわる病気の予防の研究に役立てる。
計画では、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士に、打ち上げ前、ISS滞在中、帰還後、それぞれの便の提供を求め、便に含まれる腸内細菌を分析する。ISSでは、宇宙食とは別に整腸効果が期待されるオリゴ糖を摂取してもらい、摂取前後の便を比較する。尿や唾液も集め、地上との違いを調べる。
重力がほとんどない宇宙では、免疫力の低下のほか、筋肉が落ちたり骨がもろくなったりするなど、老化に似た状態になる。このため、宇宙飛行士の健康管理法は、地上での高齢者の病気の予防にも役立つ。腸内細菌は糖尿病や肥満、腸の炎症性の病気にかかわっていることが分かっており、今回の実験データは、これらの病気の研究にも活用される。
便などは、実験への理解が得られた宇宙飛行士から、2015年以降に提供してもらう予定。他国の宇宙飛行士にも協力を要請する。プロジェクト代表の大野博司・理化学研究所グループディレクターは「排せつ物の提供は海外では習慣がないため、抵抗が少ない提供法を検討している」と話す。【永山悦子】
ソース:毎日jp
http://mainichi.jp/select/news/20130921k0000e040195000c.html